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研究紹介

ヘム獲得タンパク質HasAを用いた人工金属タンパク質

第2話「緑膿菌HasAと5,15-ジフェニルポルフィリン鉄錯体類の複合化」

 緑膿菌が分泌するヘム獲得タンパク質HasAに対して、鉄サロフェン、鉄メソポルフィリンIX、鉄フタロシアニンなど、本来の捕捉対象であるヘム以外に、複数種類の鉄錯体の捕捉に成功し、特に鉄フタロシアニンを捕捉したHasAは緑膿菌に対して強い増殖阻害を示した。

 その一方で、ヘムも属するポルフィリン錯体はその特徴的な平面構造やπ電子共役系から、錯体化学、光化学、電気化学、触媒化学など様々な分野で機能性分子として注目を集め、膨大な数の錯体がこれまでに合成、評価されている。ヘムとは大きく異なるポルフィリン錯体をHasAが捕捉出来れば、その応用可能性が大きく広がると期待される。

 そこで我々は、数ある合成ポルフィリン錯体の中で、5,15-ジフェニルポルフィリン(DPP)に着目した。DPP累はジピロメタンとベンズアルデヒドを酸触媒存在下で反応させるだけで良好な収率で合成可能であり、メソ位の置換基が異なるDPP誘導体を容易に調製可能である。しかし、これまでに天然のタンパク質にDPPを複合化させた例は無かった。

 我々は名古屋大学工学部の忍久保教授のグループの協力を得て、様々な鉄DPP錯体を合成し、緑膿菌由来HasAとの複合化を行ったところ、最も単純なDPPの他、フェニル基が3つのTriPP、エチニル基を1 or 2つ有するDPP、メソ位が窒素の骨格のDiazaDPPなど多くの鉄DPP錯体がHasAへと複合化が可能であった。また、それぞれの鉄DPP錯体-HasA複合体の結晶構造解析にも成功し、メソ位の2つのフェニル基はHasAとの接触を避けるように溶媒に露出し、ヘムとはポルフィリン環が約45°回転して捕捉されていた。さらに興味深いことに、得られた各種鉄DPP錯体-HasA複合体で緑膿菌の増殖阻害能を評価したところ、結晶構造ではほとんどHasAの立体構造には差が無いものの、錯体の構造の違いで増殖阻害能が大きく異なることが判明した。錯体構造のどの要素が緑膿菌増殖阻害に強く効いているのかは明らかになっていないが、本研究により、HasAは合成ポルフィリン錯体を捕捉可能なことが明らかにされ、HasA-合成ポルフィリン錯体の系の発展の足がかりとなる研究となった。

詳しくはこちらの論文をご参照下さい。

  • H. Uehara, Y. Shisaka, T. Nishimura, H. Sugimoto, Y. Shiro, Y. Miyake, H. Shinokubo, Y. Watanabe, O. Shoji, " Structures of the Heme Acquisition Protein HasA with Iron(III)-5,15-Diphenylporphyrin and Derivatives Thereof as an Artificial Prosthetic Group", Angew. Chem. Int. Ed., 56,  15297–15283 (2017).
    http://dx.doi.org/10.1002/anie.201707212
                       

第3話: 緑膿菌HasAと9,10,19,20-テトラフェニルポルフィセン錯体の複合化

→ 研究室内専用

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名古屋大学大学院理学研究科物質理学専攻
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