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研究紹介

ヘム獲得タンパク質HasAを用いた人工金属タンパク質

第4話「光増感剤ガリウムフタロシアニンを捕捉したHasAによる緑膿菌の光殺菌」

 これまでのFePc-HasAでは、緑膿菌が持つ受容体HasRを封鎖することで、緑膿菌の鉄獲得を阻害し、増殖を抑制していたが、緑膿菌は増殖が出来ないだけで殺菌されたわけではない(静菌作用)。そこで更なる治療効果を目指し、緑膿菌の鉄獲得系を乗っ取り、緑膿菌細胞を死滅させて殺菌するシステムの開発を目指した。

 そこで我々は赤色光の吸収して、細胞毒性の高い一重項酸素を発生する機能を持つフタロシアニンのガリウム錯体(GaPc)に着目した。GaPcをHasAと複合化し、緑膿菌に作用させると、FePc-HasAと同様にGaPcがHasAから緑膿菌上のHasRへと受け渡される。この状態で緑膿菌に赤色光を照射することで、緑膿菌内に一重項酸素を発生させ、その毒性で緑膿菌を死滅させることが出来る。効率も高く10分間の光照射で99.99%以上の緑膿菌を殺菌することが可能であった。さらにGaPc-HasAを用いた光殺菌手法で薬剤耐性を獲得した緑膿菌の殺菌にも成功した。

 また、緑膿菌の宿主となる我々人間は、HasRを持たないため、この光殺菌システムでダメージを受けることは少ないことが期待される。それだけでなく、HasA-HasRのペアは緑膿菌以外の細菌も持っているが、混同しないように各細菌が固有のHasA-HasRペアを有している。つまり、緑膿菌のHasAを用いれば、緑膿菌以外の常在菌(健康維持に必要な善玉菌など)に影響を与えずに緑膿菌のみを特異的に殺菌することが期待出来、薬剤耐性を獲得した緑膿菌を副作用なく治療できる画期的な治療法として実用化へ向けて研究を進めている。

詳しくはこちらの論文をご参照下さい。

  • Y. Shisaka, Y. Iwai, S. Yamada, H. Uehara, T. Tosha, H. Sugimoto, Y. Shiro, J. K. Stanfield, K. Ogawa, Y. Watanabe, O. Shoji, "Hijacking the Heme Acquisition System of Pseudomonas aeruginosa for the Delivery of Phthalocyanine as an Antimicrobial", ACS Chem. Biol., 14,  1637–1642 (2019).
    https://doi.org/10.1021/acschembio.9b00373
                       

第5話: 緑膿菌HasAと5-oxaporphyrinium cation錯体の複合化

→ 研究室内専用

研究室住所:〒464-8602 名古屋市千種区不老町
名古屋大学大学院理学研究科物質理学専攻
生物無機化学研究室 理農館 SA601

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