研究紹介
ヘム獲得タンパク質HasAを用いた人工金属タンパク質
第5話「緑膿菌HasAと5-oxaporphyrinium cation錯体の複合化」
これまで鉄DPP錯体を中心に様々な金属ポルフィリン錯体をHasAに複合化させることに成功してきたが、名古屋大学工学部の忍久保研究室と共同し、さらにユニークな金属錯体との複合化を検討した。
対象としたのは5-oxaporphyrinium cationのコバルト錯体(Co-OEOP)であり、この錯体は緑膿菌内でヘムが分解される際の中間体に見られる構造であるが、ポルフィリン環の一部に酸素原子が挿入された骨格を有している。このような特殊な骨格を有するポルフィリン類縁体錯体であっても、我々の期待通りに、HasAは安定な複合体を形成し、さらに興味深い事に、Co-OEOPの酸素原子の部分が炭素である通常のポルフィリン骨格のコバルト-オクタエチルポルフィリン(Co-OEP)と比較して、緑膿菌に対する高い増殖阻害効果が見られ、多剤耐性緑膿菌に対しても増殖阻害効果が見られた。
詳しくはこちらの論文をご参照下さい。
- A. Takiguchi, E. Sakakibara, H. Sugimoto, O. Shoji, H. Shinokubo "A Heme-Acquisition Protein Reconstructed with a Cobalt 5-Oxaporphyrinium Cation and Its Growth-Inhibition Activity Toward Multidrug-Resistant Pseudomonas aeruginosa" , Angew. Chem. Int. Ed., 61, (2022) e202112456 Angew. Chem., 134, (2022) e202112456.
https://doi.org/10.1002/anie.202112456
https://doi.org/10.1002/ange.202112456