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研究紹介

シトクロムP450を利用するバイオ触媒の開発

第2章: デコイ分子を用いたP450BM3等の機能改変

第8話「結晶化促進デコイ分子によるP450BM3の高速結晶化」

 第3世代デコイ分子の開発の成功によって、デコイ分子設計の制約が大きく取り除かれ、ペプチド、薬剤分子、天然物などを参考にした数々のデコイ分子が生み出されていった。P450BM3による非天然基質の変換における変換効率や立体選択性の向上を目指して開発されてきたデコイ分子であるが、最近、特殊な機能をデコイ分子の発見に成功した。天然物を参考にしたデコイ分子探索の過程で、アビエチン酸(松脂に含まれる有機酸)とトリプトファンを連結したAbiATrpの合成し、P450BM3に添加して非天然基質の水酸化を行ったが、その反応効率は非常に低く、デコイ分子としてAbiATrpは失敗作であった。しかし、P450BM3とAbiATrpの結晶構造解析を行ったところ、これまでのデコイ分子との共結晶よりも格段に分解能良く(1.22Å)結晶構造を解析することが出来た。また、共結晶の形成も迅速であり、AbiATrpがP450BM3の結晶化を促進可能な特殊なデコイ分子であることを見出した。また興味深いことに、P450BM3-AbiATrpの結晶を砕き、種結晶とすることで、AbiATrp以外のデコイ分子とP450BM3の共結晶も迅速に得られることを発見した。その結晶化の速度は非常に速く、種結晶を入れて数分で微結晶の形成が確認出来る。このcross-microseeding法は広範なP450BM3サンプルに適用可能であり、これまで共結晶が得られていなかった多くの第3世代のデコイ分子とP450BM3の結晶構造解析を可能とするだけでなく、鉄以外の金属に置換したヘム置換P450BM3の結晶構造解析にも適用可能であった。この手法はデコイ分子の合理的な設計への指針が得られただけでなく、結晶学的にP450の反応機構解明へとつながる非常に大きな成果であった。

詳細はこちらの論文をご参照下さい。

  • J. K. Stanfield, K. Omura, A. Matsumoto, C. Kasai, H. Sugimoto, Y. Shiro, Y. Watanabe, O. Shoji "Crystals in Minutes: Instant On-Site Microcrystallisation of Various Flavours of the CYP102A1 (P450BM3) Haem Domain" , Angew. Chem. Int. Ed., 59, 7611-7618 (2020), Angew. Chem., 132, 7681-7689 (2020)

    https://doi.org/10.1002/anie.201913407

    https://doi.org/10.1002/ange.201913407


              

第2章 第9話: 多段階スクリーニングによるデコイ分子の化学進化

→ 研究室内専用

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名古屋大学大学院理学研究科物質理学専攻
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