研究紹介
ペプチド核酸(PNA)による遺伝子制御
第4話「二本鎖DNAミスマッチ部位に対するミスマッチペアPNAの高効率invasion」
PNAの最大の特徴として二本鎖DNAに直接、配列選択的に複合化するinvasionがあげられるが、相補的な二本鎖DNAを標的とするため、使用する2本のPNAもお互いが相補的な塩基配列を有する。そのため、DNA/PNA相互作用によるinvasion複合体形成よりも、より安定なPNA/PNA二本鎖が形成しやすい。これまでに我々はカチオン性グアニンの導入によるPNA/PNA相互作用の不安定化がinvasion効率の向上に有効であることを明らかにしている。
この知見を参考に、今回、2本のPNAにミスマッチを導入することで、PNA/PNAを不安定化し、さらに、標的をミスマッチ含有二本鎖DNAとすることで、高効率なinvasionが進行することを見出した。これまでの2本鎖DNAに対するPNAによるinvasionでは、DNAに対して過剰量のPNAを必要としていたが、本系は、DNAに対して、1:1のPNAの量でも、ほぼ定量的なinvasionの進行に成功した。標的はミスマッチ含有2本鎖DNAに限定されるが、このようなDNAのミスマッチは重大な遺伝病に関連することが多く、本システムを応用したDNAのミスマッチ検出への発展が期待される。
詳しくはこちらの論文をご参照下さい。
- M. Shibata, O. Shoji, Y. Aiba, "Recognition of mismatched sites in double-stranded DNA by a pair of partially noncomplementary peptide nucleic acids" , Chem. Lett., 53, (2024) upae234
https://doi.org/10.1093/chemle/upae234